先人から学ぶ「桐のちから」

風邪をひいたら首にネギを巻け!

のように、お婆ちゃんの知恵袋、先人が残した知恵は多くあります。

え、嘘でしょ?みたいな有名な知恵ですが。

とある研究で検証した結果、意外と本当に効果があるそうです。

昔は今と違い、精度の高い研究環境は少なかったと想像できるので

生きるために、知恵をしぼった対処療法はすごい。

と改めて感心しますよね。

そして、

この先人の知恵や技というのは、現在の建築技術でも

絶賛活用されています。

例えば、家の補強や耐震で有効な「筋交い」なんかは、

1604年に建てられたお寺を修繕するときに発見されたそうです。

実は、この筋交いが耐震対策に有効と実証され広まったのが19世紀後半。

大凡200年前の技術が今の正解を導いていたわけです。

いかに、昔の人が「自然素材のちからを理解し、活用する術を知っていた」ことが分かりますね。

現代では「自然のちから」のような性能は抽象的と捉えられがちであり

より数値化しやすい機械的な人工物を信用する傾向にあります。

そう考えると、現代人は便利になったけど、モノへの理解度が低くなってしまったのかな。

と、少し考えさせられますね。(苦笑)

先人の知恵、あなどりがたし。ということです。

そんな先人の木の知識は「桐の性能」も最適解で使われます。

桐の歴史は、「琴、琵琶」の楽器が中国から日本に伝わったことが始まりと言われています。

これが、奈良時代から平安時代あたりのことなので

そのころから、桐が空気を多く含み、音響をよくするということを理解していたんですね。

それは、現在の研究結果からもその効果は確認することができます。

それから、桐は天皇に献上されたり、家紋に使われたりと日本に馴染みのある「高級素材」として、定着するわけなのですが。

ここでも、日本の職人さんのお目は聡かったんでしょうね(笑)。

なんと、桐には「調湿効果がある」と昔の誰かさんも気づいたのでしょう(笑)。(あくまで、想像ですが。)

今も昔も日本は変わらず高温多湿ですからね。

それに目をつけて作ったのが、桐箪笥だったり、なわけです。

これは、もう当時としては画期的だったのでしょう(笑)。

その効果で言えば、

調湿効果で、服が傷みませんし。

防虫効果で、虫食いも防いでくれますし。

ついでに、耐火性能もあれば「家は燃えても桐箪笥は残る」みたいな言葉も残るくらいですから。

でも、んー、なんと言うか、伝わり方が勿体なかった(笑)

と言うか、高級感のハードルをもう少し下げてもらえると、建築素材としてもっと活躍できたんじゃないかなぁ。と思うのです(苦笑)

だって、天皇様御用達、みたいな立ち位置ですからね。

すごく性能が良いのは分かったけど……。

これを家の内装材に使ったら、恐れ多いなぁ。

みたいな感じだったと思うんですよ(笑)。

あとは、そんな立ち位置だったからこそ

めちゃくちゃ、付加価値が付いて

物理的に高級だった。のかもしれませんが。

どちらにしても、家の素材に使うなんて想像もできなかったんでしょう。

という感じで、昔は桐の性能を理解していたけど、なかなか建築素材では使えなかった。日の目を見ることができなかったのでしょう。

しかし、現代では価格も下がり、手に入れることも難しくなくなりました。

じゃあ、なぜ、建築素材として使われないのでしょう?と言うことですよね。

これには2つの理由があると思っています。

まず、1つ目が前述した通り

「自然のちからを真剣に研究しなくなった」

ことがあげられますね。

つまり、なんとなく桐の効果は知っているけど、メーカーが発表している数値結果のあるシステムを使ったほうが早くない? と言う感じでしょうか。

そもそも、現代の建築会社さんは家づくりのプロであって、木のプロではないですからね。木を学ぶ時間があるなら、1件でも多く家を作りたいと考えることは普通のことです。

2つ目の理由が、

「桐は傷がつきやすい」

ということがあげられます。

これはもう「クレームが怖い」という単純な理由だと思うのですが。

そもそも、桐のリスク対効果を施主さんに正確に説明できないのだと思います。

例えば、

桐には、断熱効果があります。

これは、桐を触った瞬間にすぐ分かるくらい、その温かさを実感できます。

でも、リスクを考えれば、床暖房や床下断熱などの施工を勧めるほうが効率も良いわけです。

これだけでなく、桐の効果は様々なシステムに代替えできる性能を持っていますし、なんと言ってもその効果は半永久的に持続ですから。

傷が付きやすいのは事実ですが、先人であれば、きちんと説明してくれたことでしょう(笑)。

知れば得をする。

というお話でした。