本当に傷つきやすい?桐フローリングと他の床材の傷について考える。

先日、お客様から

「杉の床材がボロボロになっていて困っているから張り替えを検討している」

「桐の良さは知っているけど、傷が心配」

とご相談をいただだきました。

心配はごもっとも、ですよね(笑)。

そこは、もちろん。

「桐は傷ができやすいです」と正直にお伝えします。

しかし、このようなご相談に対しては「ただ~」と続けるお話もします。

もちろん、桐だけをお薦めするお話ではありませんよ(笑)。

これは、木のフローリングを検討しているすべての人が

知識として持っていれば、賢く、長く、木の内装材と付き合える、そんなお話です。

「木のフローリングに憧れているけど、傷が心配だなぁ」

と思っている人は是非ご参考ください。

ーーそもそも、木には2種類あります。まずはそこから知る。

見出しの通り、木を大きく分類すれば2種類に別れます。

聞いたことがある方も多いと思いますが、

「広葉樹」と「針葉樹」のことですね。

読んで字の通り、「見た目が違うだけでしょ?」

と思われている方が多いのですが、

実は「木の細胞組織」が違います。

これは、フローリングで考えたときに

とても大切なキーワードなのですが。

とりあえずここでは「木の細胞組織が違うんだなぁ」ということだけ

頭に入れておいてください(笑)。

ーー木の細胞が違うと何が違ってくるのか?

「フローリングで使うことの違い」

の結論から言えば。

「素足で触れた時の暖かさ」

「調湿効果(※乾燥具合による)」

が違ってきます。

と言うのも、一般的に広葉樹と針葉樹の細胞の違いとして

木を構成する細胞と細胞の隙間【空気の隙間(孔)】が違います。

フローリングでよく使われる樹種の例をあげれば

【広葉樹】

オーク、オーク(ナラ)、サクラ、ウォールナット、ケヤキ

【針葉樹】

杉、パイン(松)

があります。

一般的な認識では、広葉樹は「重くて、硬い」、針葉樹は「軽くて、柔らかい」

と言うイメージが強いですね。

これは、触ればすぐ分かります(笑)。

つまり、硬ければ、それだけ「孔(あな)」がないわけですから

空気や水を含むのが苦手。ということで、

それをフローリングの性能に置き換えると

「暖かさ(熱伝導率 ※参照:「床が寒い」は選ぶフローリングで決まる。

「調湿効果」

に影響する、ということです。

ーー木の性能で言えば「針葉樹」一択?

話がすごく、逸れました(笑)。

が、ここからは本題の傷の話に移りますね。

さて、ここまでで言えば、木の性能を住環境に活かすのでれば

「針葉樹一択じゃね?」と思われる人は多いでしょう。

しかし、針葉樹にも弱点はあります。

その中のひとつで言えば「傷ができやすい」問題ですね。

当たり前の話ですが、傷は柔らかい部分につきます(笑)。

一般的には木の柔らかい部分に該当するのが「夏目」と言われる所になります。

つまり、年輪でいう太い部分ですね。

木の年輪は、「冬目」と「夏目」に分かれています。

字の通り、木が成長できない冬は、ゆっくり育つため細い目、つまり冬目になり、逆にすくすく成長する期間に育った目を夏目と呼びます。

特徴としては、冬目は密度が高いため硬く、夏目は非常に柔らかいです。

そして、細胞の話に戻ると、針葉樹は広葉樹よりも

すごく単純な細胞構造になっているので、成長周期も単純で

この年輪がはっきり分かれているのが大枠での針葉樹の特徴でもあります。

すごく簡単に言えば、

「針葉樹は細胞が素直だから年輪がはっきり。広葉樹は細胞が曲者だから年輪が曖昧。」

という感じ(笑)。もちろん、どちらも一部例外はありますが。

まぁ、ここで大切なのが、柔らかい「夏目」が傷ができやすい。

ということですね。

そして、針葉樹は夏目が太くてはっきりしているので、傷が目立ちやすい。

逆に、広葉樹はその木樹によりますが、

夏目冬目が細かったり、曖昧だったりするので傷への耐久性が高い。

という特徴の違いがあるということです。

とは言え、どちらも、長く使えば傷はつきますけどね(笑)。

ーー実は「桐」は広葉樹です(笑)。

ここまでお話して、この事実を伝えると

大体のお客様が驚かれます(笑)。

だって、桐は世界で2番目に空気をふくむ「孔(あな)」が多い木じゃないの?とか。

木の性能的にはどう考えても針葉樹じゃない?とか。

色々なご感想をいただきますが。

一言で言えば、「桐」は本当に特殊な木ということです(笑)。

というのも、そもそも、桐はゴマハノグサ科で、木というか草の分類筋なんですね。

その特徴としては、【空気の隙間(孔)】が針葉樹のどの木よりも「多い」こと。(世界で2番目)

つまり、桐は針葉樹の性能よりも優れ、広葉樹の特性も併せ持つ

かなり優秀な木ということになります。

さらに、視点を「傷」に戻すと。

広葉樹が持つ年輪の癖が、良い意味で機能します。

百聞は一見にしかず。

ちょうど、15年暮らした「杉」と「桐」のフローリングの比較写真をご覧ください。

15年使用した「桐床」
15年使用した「杉フローリング」

ちなみに、たまたまですが、どちらのご自宅でもワンちゃんを放し飼いにしています。

ーー桐の傷が目立たないのはなぜか?

いかがでしょうか?

もちろん、桐にも傷はできますが、

15年経つわりには……!?。

と思われた人も多いのではないでしょうか?

その秘密は、桐の細胞構造とその成長する年輪にあります。

桐の年輪は、「夏目」が硬く、「冬目」が柔らかい。という特殊な特徴があります。なので、柔らかい部分(冬目)が細い目をしているので、長い目で見れば「桐の傷はあまり目立たない」という桐の目の特徴がこのような結果になった。ということです。

とは言え、あくまでも

「長い目で見たときに桐の傷はどうですか?」

という問いに対しての話で

やはり、桐は柔らかくて、軽い木です。

なので、やはり傷はできます(笑)。

あくまでも、ご参考までに。

というお話でした。

「桐床を使いたい」そう考えている人にお伝えしたいこと。

桐床をご検討いただきありがとうございます。

最近、お客様ご自身で床材を指定していただき家づくりをはじめられる機会を多くいただくことがあります。

しかし、桐の特性上、キズが付きやすい側面があります。

そのため、桐のこのデメリットの部分しか認識のない建築会社が、施工後のトラブル回避のため、打ち合わせ時に他のフローリングを勧めてくるというケースが発生しております。そのことにつきましては桐の特性上の問題もありますので、桐から得られるメリット・デメリットをしっかり比較、ご検討いただきご判断をお願いいたします。しかし「利益率の問題で他のフローリングに変更を勧める建築会社がある」とご相談をいただく事例がありました。その場合はもちろん決裁権はお客様ご自身にあります。もし、そのようなケースでお困りなことがありましたら、ご連絡ください。弊社にて対応いたします。

また、このようなトラブルが起こる大きな原因として、桐に対する建築会社の知識不足の問題があげられます。ご心配な方は打ち合わせ前に弊社までご相談ください。対処方法、または事前に指定の建築会社様へ取り扱い方法などを弊社からお伝えすることも可能です。お気軽にご連絡ください。

お客様の声

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